低身長で来院されても、検査の結果成長ホルモンの分泌に異常がなく、治療の適応にはならなかった場合でも、「お金はいくらでも出すので身長を伸ばしてほしい」と訴える親御さんもいらっしゃいます。それだけ切実な悩みであることはわかりますが、有効性や安全性が証明されておらず、難しいのが現状です。

海外の例で、成長ホルモン分泌不全でなくても、大量に成長ホルモンを投与して身長が伸びたり、国内でも特殊な例として、自己負担で長きにわたり成長ホルモンを投与し身長が標準に近づいたという報告もあります。これらはいずれも「病気」ではなく、「美容形成」の領域に入るものです。また、すべて自己負担となりますので莫大な費用がかかります。

さらに留意すべきは、成長ホルモンを投与しても結果として望んだ最終身長に到達しない場合もあることです。また思春期を過ぎ骨端線が閉じかけているようなケースは、成長ホルモンをいくら投与してもその効果はまず望めません。