成長ホルモンは背を伸ばす万能薬ではありません。思春期後半や終盤においては大いに効果を発揮するものではありますが、それ以外の時期ではよく効く子もいれば全く効果が表れない子もいます。思春期真っ盛りの時は逆効果になることさえあるのです。状況によっては成長ホルモンより蛋白同化ホルモン剤の方がよく効く子もいます。治療を試みる際は、外見からは判断できない体質の個人差を念頭に置くことが大切と言えます。

また、子供の心の状態は私たちが考えている以上に背の伸びに大きな影響をもたらします。例えば、肉親が亡くなった後の2年間、海外に引っ越した後の2年間、受験やいじめでストレスを抱えていた1年間など、その期間の伸び率が悪かったため、最終身長に5cm以上の差がついてしまうことも珍しくありません。

このような心の状態を医療的なアプローチで改善したら、とたんにキャッチアップという現象が起こり、短期間でぐんぐん背が伸びたという例もあるのです。