数十年前に流行った家庭用の健康器具に「ぶら下がり健康器」というものがあります。背の高い鉄棒のような形状で、それにぶら下がって健康に何らかの効果を得ようとするものです。なかにはこれで背が伸びると思い、ぶら下がり運動を実行しているひともいるようですが、結論から言うと、ぶら下がり運動では身長を伸ばすことはできません。

それでも、実際にぶら下がる前と後で身長を計ったら、少し伸びていたという人もいるでしょう。でもそれは、骨と骨の間にある軟骨を含む「軟部組織」が、一時的に伸びたというだけのことなのです。人の身長は朝起きた時と夜寝る前でも1~2cm程違いますが、これも軟部組織の伸び縮みによって生じる現象です。夜、寝ている間に軟部組織は伸ばされ、日中に活動している間に少しずつ縮むというわけです。

子供の身長を伸ばすには、身体を動かして元気に遊ぶ方がよっぽど有効です。適度な運動は成長ホルモンの分泌を促します。また運動すればお腹がすくし、疲れてぐっすり眠れます。この良い循環を継続することこそ健全な成長を促すのです。