1980年代前半は、まだ成長ホルモン製剤が大量生産できず、手に入れることが難しい時でした。その頃に子供だったEくんの病気は、下垂体性低身長症という成長ホルモン分泌不全のひとつでした。しかし検査で病気であることがわかっていても、成長ホルモン補充療法が受けられず、最終身長を迎えることになってしまいました。
Eくんは8歳まではSDスコアがマイナス2SDのラインで推移していましたが、成長ホルモンの不足が原因でその後前思春期の標準的な伸びが得られず14才で125cmほど。14才過ぎに思春期を迎え、身長のラストスパートはあったものの最終的には148cmにとどまりました。
現在は成長ホルモン製剤の確保はさほど困難ではなく、成長ホルモン分泌不全と診断され、治療の対象となれば保険適用で成長ホルモン補充療法が受けられます。日頃から成長曲線をつけ、3才を過ぎた時点でマイナス2SDを下回る場合は、早めの受診が望まれます。